医学史博物館

医学史博物館Le Musée D'Histoire De La Médecine De Paris

医学史博物館は、パリのルネ・デカルト大学(第五大学)医学部の構内にあります。
ここには、絵画や版画、外科手術に関する辞書や医療器具など医学の歴史を物語るコレクションが展示されています。例えば、古代エジプト時代のメスや青銅製の外科手術道具、ルイ14世の痔瘻の手術に使用されたシャルル=フランソワ・フェリックス医師の器具、ナポレオンの遺体を解剖したときのメスなど。歴史を物語る品々からは、古代エジプト時代から19世紀終わりに至るまでの医療の歴史を俯瞰できます。また、器具の細部に施された装飾、油彩の肖像画、トルソーからは、美術史を学ぶこともできるでしょう。
医学生の行き交う2階の図書館とは反対方向に見える階段を3階まで上がると、そこが展示室。教会の入り口を思わせる木戸を開けると、突然に美しい天窓のある別世界が広がります。
ちょうど10月末から11月初めは、すべての学校が秋休み。来館者は、医学生、医療従事者、研究者のみならず子ども連れの見学者まで幅広い層でした。その子ども連れが必ず足を止め、時にはさざめきと小さな笑い声が聞こえるバルコニー!!
そのバルコニーの展示品こそ、今回の我々の旅の目的地です。そこに見えるのは、使い古されてはいるものの未だにカラフルで美しい教具の数々です❤

パリ医学史博物館の教具☆

パリ医学史博物館は、医学の歴史的資料を所有する博物館です。フランス革命(1789)以前のコレクションを受け継ぎ、19世紀に使用された近代臨床医学の治療機器も展示されています。
その展示物の一つが教具。教具は、近代精神医学の現場で用いられた医療・教育的療法の補助具なのです。では、この教具は一体何に使われたのでしょうか?
近代精神医学の成立は、フランス革命を契機とする市民社会の成立と深い関係がある(中井久夫『西欧精神医学背景史』)と言われています。そうした近代精神医学では、内科医が精神疾患としてのイディオ(idio=医療用語で白痴)の治療にあたっていたのです。そしてイディオ治療の一環として教具は使われていたのです。
その医療・教育的療法をイタリアから学びに来ていたのが、マリア・モンテッソーリでした。
彼女は、その教具に瞠目したのです!